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NPOや共生社会についての時評を月2回更新でお送りします!


タイトル NPO時評
著者 柏木宏
連載 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回

第1回

マイレージやポイントによる寄付活動
〜航空会社などがアメリカで実施〜

 CSR(企業の社会的責任)がちょっとしたブームになっている。

 だが、ブームの割には、CSRの内実が深化しているようには思えない。カネボウの粉飾決算がメディアを賑わしているのは、その一例だ。CSRの一部をなす企業フィランソロピーも、目立った動きがみえない。日本の企業社会において、CSRは実践的な課題として成熟していない、ということなのだろう。

 プラグマチズムが尊ばれるアメリカでは、CSRも実践的な課題だ。企業フィランソロピーに限定しても、戦略的な寄付や従業員ボランティア活動が提唱されている。こうしたなかで、最近、注目されているフィランソロピー活動のひとつに、マイレージやポイントを利用したNPOへの寄付活動(以下、マイレージ寄付)がある。

 マイレージ寄付は、航空会社がリピーターを増やすために始めたプログラムだ。ポイント制は、チェーン展開しているホテルなどで広がっている。マイレージ寄付は、10年ほど前から本格化してきた。

 最も一般的なマイレージ寄付の手法は、フライトを利用した人々が、その人に提供されるマイレージを航空会社を通じてNPOに譲渡する、というものだ。利用者は、自分のマイレージすべてを譲渡する必要はない。多くの航空会社では、5000マイル以上、1000マイル単位で譲渡を認めるという方式をとっている。

 老舗的な存在であるユナイテッド航空は、1996年以降、5億マイル相当のマイレージをNPOに寄付しているという。ユナイテッドの場合、米国内往復航空券には、2万5000マイルが必要だ。5億マイル分の寄付は、米国内往復航空券2万人分という膨大な数だ。

 譲渡されたマイレージを現金にしてNPOへ寄付をする方式もある。スマトラ沖地震の救援団体を支援するために、2005年末までの期限付きでヒルトンホテルなどが加盟するプライオリティ・クラブが実施しているポイントを寄付する方式は、その一例だ。

 プライオリティ・クラブでは、1万ポイントに対して25ドルを赤十字やUNICEFなどに寄付することにした。さらに、同クラブは、UNICEFへの寄付については、最大12万5000ドルまでマッチングを行うという。例えば、ある人が1万ポイントをUNICEFに寄付した場合、クラブは25ドルを会社分として追加して寄付を行う。UNICEFが受ける額は、50ドルになる。クラブ側は、最大12万5000ドルまで利用者の寄付に上乗せする。

 マイレージ寄付を積極的に活用しているNPOに、スペシャル・オリンピックスがある。今年長野で冬季世界大会を開いたことで知られるNPOだ。スペシャル・オリンピックスでは、デルタ、ノースウエスト、ユナイテッドなどの航空会社からマイレージ寄付の譲渡を受ける団体に指定され、多くのマイレージ寄付を受けている。団体のホームページには、航空会社名と寄付方法を詳しく記述した説明文も掲載されている。

 アメリカで寄付が多いのは、税制優遇措置があるからだ、という声をしばしば耳にする。しかし、マイレージ寄付に限れば、寄付者は所得税などから控除できるわけではない。にもかかわらず、かなりの譲渡が行われるのは、スペシャル・オリンピックスのように、NPOサイドの活発な要請も影響していることは間違いないだろう。

 マイレージ寄付は、マイレージやポイントを譲渡する人に金銭的な負担が生じるわけではない。譲渡されたマイレージやポイントをNPOに寄付をする企業も、元々、譲渡した人が使う予定だったと考えれば、手続き作業の経費がかかるが、NPOによる広報効果が期待できる。譲渡されたNPOにすれば、現金と同様の効果をもつ。三者ともに利益をえるプログラムだ。

 とはいえ、問題がないわけではない、マイレージ寄付では、通常、マイレージやポイントを譲渡できるNPOが限定されている。ユナイテッド航空は、譲渡先に加えるようNPOからの依頼が膨大な数にのぼるが、応えきれないという。マイレージやポイントを譲渡したい人と企業、そして譲渡を受けたいNPOをうまくマッチングする仕組みを提供する中間支援的な組織が作られる必要があるのではないだろうか。

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