大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻都市共生社会研究分野

co-existing.com
修士課程 博士課程 フォーラム・シンポジウム お問合せ
予定表 教員紹介 リンク メンバー専用
 トップページ > ワークショップ実施一覧 > レポート

2007年度 都市共生社会研究分野 第2回 ワークショップ

NPO法成立の背景、意義と今後の課題

東京ランポ・辻 利夫
2007年4月17日

第1セッションー辻利夫氏から

 ほとんどの院生が緊張して待ちかまえる中で、2007年度前期、共生社会研究分野におけるワークショップにおいて最初のゲストを迎えた。
ゲストスピーカーである辻利夫氏の自己紹介の後、東京ランポとシーズの紹介、特定非営利活動促進法(以下、NPO法)制定に至るまでの背景や立法の過程、NPO法の課題、等が話された。
1994年に設立されたシーズは、長年、市民活動推進法試案をもとに立法活動を展開してきた団体である。シーズ設立当初というのは、NGOなどによる市民活動の国際化が進んでいった時期とも重なる。そして、1995年の阪神淡路大震災。多くの人命が失われてしまった震災であったが、その震災を契機にして、活発に展開されたボランティア活動への評価が高まり、それとともにボランティア活動の法人化の機運が、市民や政党を巻き込んだ形で一気に高まりをみせていった、という時期でもある。女性、若者、中高年の市民活動への参加拡大、地方分権推進と規制緩和、コミュニティの空洞化への危機感、等も、そのような高まりの追い風となっていったといえよう。 
そんな中、NPOの啓蒙提唱者たちによる研究会が発足し、そこに現シーズ事務局長松原氏が参加。NPOや社会への啓発、議会へのロビー活動を活発に行いつつ、NPO法の試案づくりが進んでいく。シーズは当初、譲ることのできない原則として、「法人格の簡易な取得」「市民活動を推進する税制の整備」「市民活動情報の公開」を挙げ、立法の目標とした。
当時存在していた新進党をはじめ、自民党、社会党、さきがけ、共産党、等がそれぞれの立場から法案や要綱を発表していった。そして、1998年3月に衆参両院で可決、ついにNPO法が制定された。市民も一緒になって作り上げた議員立法となったのである。
 東京ランポにおいては、「市民活動を推進する税制の整備」を目標に立法を目指したが、結果は付帯決議で妥協。2年後に見直しを行い、認定NPO法人を作ったものの、現在は約50団体しかない。税の優遇については、国税庁の裁量ではなく客観的な基準を設けたことは一歩前進だが、その基準が非常に厳しくて認定されない、というのが現状である。
 社会福祉法人や学校法人である特定公益増進法人に関連して、辻氏は日本における寄付文化、とでもいうべき事柄に言及していく。税制上、個人からの寄付には様々な控除があるが、日本に寄付をする文化が普遍化していない。そういった観点からシーズは、寄付文化が促進する制度をつくる運動を展開する予定であるという。
 今後、課題にすべき事項について、辻氏は次のような点を指摘した。定款変更による総会開催事項の精査、認証取り消しまでの期間の短縮、情報公開と役員の個人情報への配慮、法の名称の変更、NPOにふさわしい会計基準の設定、等である。セッションの最後に辻氏は現場での苦い経験をから得た、ある懸念を話した。それは、簡単に法人格が取得でき、知事が認証するという制度を悪用、乱用する団体が目立つようになり、NPO法人自体への信頼感が揺らいできているように感じる、ということである。この発言を聞き、あらためて院生達はNPOの生々しい現実を察知し、それに触発されたように、自分たちの経験をふまえた活発な質疑応答が行われていった。

第2セッションー質疑応答

Q.NPO法人に関して、どんな税制だったらよいのか。
A.税制優遇を受けられる認定NPO法人になるための書類作成にかかる労力を考えると、優遇によるメリットが少ない。寄付をする個人が増えれば認定NPO法人になろうとするNPOも増えると思われるので、個人の寄付を増やせるようなシステムをつくらなければならない。アメリカでは寄付控除があり、寄付をしやすい環境にある。また、寄付をもらうノウハウがつくられており、お金を集めてくることに非常に積極的である。

Q.今の日本でNPOに融資・助成をするところはあるのか。また、NPOの収入源は?A.融資する団体はある。収益があがらない団体へは助成金を勧める。最近は自治体でも助成している。NPOの資金源は、会費・寄付、事業収入、助成・補助金。しかし、事業収入だけでは運営は難しい。最近は助成金も競争率が激しい。

Q.NPOという言葉が昨今、良く聞かれるようになったが、NGOという言葉を聞かなくなったのはなぜか。
A.NPOのうち、「非政府」という性質を持っている団体をNGOというので、活動が少なくなったわけではない。

第3セッションー院生の意見や感想

・NPOの資金源や寄付の状況を知ると、もっとNPOに運営資金が蓄積するシステム(税制、立法をふくめた)が必要だと思う。
・資金調達の実情を聞けて、大変ためになったし、その大変さも実感できたように思う。そして、それゆえに、NPO自身、もっと資金集めのノウハウを習得し、積極的になる 必要があると思う。
・昨年9月に行われたNPO法見直しに関連して、自分が関わっている団体についての思いを深くした。
・特定公益増進法人について、もっと学んでいきたいと思う。
・その他、公益法人への視点はどうあるべきか、日本におけるNPOの今後の展望について、等、活発な意見が院生より提示された。WS後のアンケートでは、突っ込んだ質問をするための時間が足りない、という書き込みが目立ったことを付記しておく。


▲このページのトップへ

 

共生社会研究分野