大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻都市共生社会研究分野

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2007年度 都市共生社会研究分野 第3回 ワークショップ

ボランティアと市民活動の過去、現在、未来

大阪ボランティア協会・早瀬 昇
2007年4月24日

第1セッションー早瀬昇氏から

1965年創立の大阪ボランティア協会という名称について、「奉仕」とは一線を画した、よりアクティブなイメージを喚起するものとして「ボランティア」という語句を使用したという説明がまずなされた。続いて、事前に配布されていた資料(『市民活動の意義を否定する「自己責任論」』)と、当日配られたレジメに沿って、ボランティア活動の歴史や意味が語られた。
1989年、民法上で「公益法人」(34条)についての法律が定められた。当時は公益はすなわち国益であり、官の強さが強調され「官」による許可制(=原則禁止)であったという。また1964年89条の解釈では「公」の支配に属さない民間団体に補助金を出せない、ということの逆の発想から、補助金を受けるために公の支配に属すという発想が生まれる。また公共的な課題の解決は「官」が行うという解釈もでてきた。
 早瀬氏が強調したことのひとつに、市民活動は役所の穴埋めではなく独自の役割がある、という点がある。その論拠として、行政というものの行動原理を、早瀬氏は挙げる。例えば、阪神淡路大震災が起こったとき、行政というのは「公平」の条件(全体を把握してから公平に対応する)があるゆえに、迅速には動けなくなる。大災害では全体が見えづらく、その中での優先度というものが把握できないから、それは当然のことなのだと、早瀬氏は強調した。しかしボランティア(個人・私)はそうではない。それぞれが、違うニーズに気づき、そのニーズを充足するための多彩な活動が可能なのである。ボランティアというのは、公共ではないゆえ、ある種の「不公平さ」が伴うが、その「不公平さ」というのは、言いかえれば「他ならぬあなたのため」というためにおこる現象である。それゆえにこそ、市民活動やボランティアは「温かい」と話す早瀬氏の言葉には説得力があった。
 続いて、官が民を支配する(公益法人制度)でないNPO法成立について。1997年の「市民活動方針法(案)」には100箇所ちかく「市民」ということばが使われてあったという。しかし、現在はたったの1カ箇所しか残っていない。「市民」という言葉を嫌う体質が議員にはあるのだと、早瀬氏は話す。様々な立場からの、様々な次元でのせめぎ合いや妥協、働きかけがあって、「特定非営利活動促進法」という名称となった。
 有償ボランティアと無償ボランティアについての見解についても語られた。早瀬氏によると、ボランティアとは無償のイメージが強く残る言葉である。有償ボランティアは、使う側としては安上がりで都合のいい言葉となる側面もあることに注意が必要であるとのことである。
 また、NPOという概念のメリット・デメリットについては、以下のような見解が述べられた。NPOという概念の広がりによって、有償・無償の両方のスタイルがあってもいいという概念が広がりをみせていった。が、しかしその弱点として、NPO(Not-for-Profit Organization)の「for」の部分(「for」=「心」である、と早瀬氏は説明する)が、する側の「心」であるがゆえ、見えづらく分かりにくい部分がある、との考えである。

第2セッションー質疑応答

Q.行政の限界があるという話から、行政がボランティアを募るということに矛盾はないのか?
A.行政は公正であることを旨としているため、どのような施策に関連して、どのようなボランティアを求めるのかについてのルールを細かく決めている。このようなルールの中で活動することを好み、選んでいる人もいれば、その規制の中で活動することを通じてボランティアもエンパワメントとしていくということもある。市民とは主権者のことである。とはいえ、行政と組み市民がかかわるときに流行っている「協働」があるが、ただの安上がりになるということもある。

Q.テーマ型NPOとエリア型NPO(参考資料P6の表)の説明を
A.テーマ型(有志)NPOとは、テーマに共感する人々が集まるNPO。行政とテーマ型NPOの協働は難しい。エリア型(地縁)NPOとは、今までの自治会や婦人会等をイメージしてもらえとよいかと思う。行政とは今まで協働をしてきた。行政とエリア型NPOの全体をまとめようとする原理は似ている。エリア型NPOとテーマ型NPOとの協力は難しいのが現状である。

Q.市民社会、市民が育つなど、よく「市民」という言葉が使われるが?
A.さまざまな関係の中で能動的に関わる人、いろいろなアプローチを姿勢として持っている人が、「市民」であると考えている。(参考資料P8)

第3セッションー院生の意見や感想

参加者それぞれの経歴や問題意識をもとに、本日のWSについてのコメントを共有した。
・ボランティアは不公平さが伴うが「他ならぬあなたのため」だからこそ「温かい」との言葉が印象深い。
・いくつかのボランティアに関わって有償・無償や概念に縛られたときもあったので、今回のWSでは共感する部分が多かった。又、ボランティアは現実には、安上がりなアウトソーシングとなりがちになっているということを改めて感じた。ボランティアというきれいなイメージの言葉で、本来行政が行っていくべきことをすり替えていると感じられる。すり替え、置き換えでなくパートナーとして関われる関係づくりを考える機会になった。
・テーマ型・エリア型NPOの話は自分の関わる活動や地域の中で立ち上げ、すすめようとしているNPOと関連付けて考えることができた。そのあたりをもう少しお聞きしたかった。


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